伊勢神宮は1日目の午前に外宮に行って、
午後に内宮に行って、
それから夫婦岩を見に二見浦へ行った。
(そしてそこに一泊目の宿がある)
タクシーの運転手のおっちゃんが威勢良く観光案内をしてくれて、
いい思い出になった。
外宮は鰹木が奇数で千木が外削ぎ。
内宮は鰹木が偶数で千木が内削ぎ。
そんなことを教えてもらった。
茂木さんに「御垣内参り(みかきうちまいり)をするといいよ」と言われていたので、
わざわざスーツにネクタイで参拝に望んだ。
たくさんの人でごった返す中で参拝するよりも、
御垣の中で周りに何もない状態ですこしだけ御正殿に近づいてするお参りは、
皮膚の感覚受容野が周囲20メートルまで拡張したかのような
不思議な一体感と崇高感に包まれた。
絶対的な静謐さに包まれて、強烈に自分の内部を感じた。
夕飯は旅館のお料理をいただいたのだけど、
嫁がせっかくだからと豪華なプランを奮発したので、
これでもかこれでもかとごちそうが出てきて圧巻であった。
伊勢エビが1人につき1.5尾の贅沢さで、
活け作り、陶板焼き、水炊きと3パターンでいただいてしまった。
伊勢エビは食べたことはあったけどあまり良いイメージはなくて、
だけどその日食べた伊勢エビは飛びきり上等で、
活き作りの伊勢エビは天にも昇る食感だった。
* * *
二日目は5時半に起きて、夫婦岩越しに昇る日の出を見て、
それからお伊勢さん別宮の月読宮へ。
月讀宮にはツキヨミ、ツキヨミアラミタマ、イザナミ、イザナキの
4尊(みこと)が奉られている。
("尊"も"命"も"みこと"と読むが"尊"の方が偉いらしい)
ツキヨミの尊はアマテラスオオミカミの弟さんらしい。
アマテラスオオミカミの弟君といえばスサノオだと思っていた。
そうか、もう1人弟がいたのね。
その後、お昼を食べに松阪へ特急で移動。
松阪は"まつさか"と濁らない。
松阪という字を見たら真っ先に思い浮かぶのは松坂牛で、
その連想通りに松阪牛を食べた。
和田金というとても有名なお店。
あんまり立派な建物なので、女中さんに
「まるで旅館みたいですね」と言ったら
女中さんは
「みなさんそうおっしゃりますが、
お食事のお部屋のみになります」
と涼しげに答えてくれた。
ある程度覚悟してお店に入ったとはいえ、
メニューの中のすき焼きの値段を見たら目ん玉が飛び出しそうになった。
それでも腹をくくってすき焼きを2人前注文した。
果たしてそのお値段に見合うだけど味・量・サービスであった。
昨日の伊勢エビに続いて行幸であった。
しかし、あとで電通の佐々木さんに聞いたところによると
「和田金にいったら"網焼き"をくわなきゃダメだ」
とのことで、その点は口惜しい。
その後、本居宣長さんの旧家を見て、松阪城をみた。
それから再び特急に乗って賢島へ移動。
賢島大橋(名前負け)から夕日を見た。
一日の内で日の出と日の入りの両方を見たのはこれがはじめてかもしれない。
複雑に入り組んだ海岸線と水面に浮かぶいくつもの筏。
いつか見た三重の海岸の夕焼けを思い出しながら眺めた。
夜は鳥羽にあるグランドホテルに泊。
宴会場から絶え間なくカラオケの音が流れてくる感じの
グランドホテル。
* * *
3日目は嫁に無理をさせないためにただ帰るだけの予定だったけど、
欲を出して名古屋で途中下車。
ひつまぶしを食べに「蓬莱軒」へ。
蓬莱軒は本店、神宮前店、松屋店と3店舗あるけど、
神宮前店にした。
30分待ったけど、それに見合うだけ十分においしいひつまぶしを
食べることができた。
おひつのご飯を4等分して1膳目はそのまま、
2膳目は薬味をかけて、
3膳目はお茶漬けにして、
4膳目はお好みでどうぞ、と食べ方が書いてある。
オレはもっとせっかちに、
一膳を食べる間に「そのまま食べる」
「薬味をかける」「お茶漬けにする」というのをやり、
そのヘビーローテを4膳こなした。
12回、「ウマー」と叫ぶことができた。
ひつまぶしでお腹を満たした後は熱田神宮にお参り。
伊勢神宮にお参りしたばかりであったが、
熱田神宮もなかなかの威容を備えている立派な神社であった。
しかも、遷宮したばかりのようで、
真新しいひのきの建材がまばゆいことこの上なく。
内宮と変わらず鰹木が偶数本で千木が内削ぎ。
しかし、お伊勢さんよりもサイズが大きいような気がするのは気のせいか?
柱の近くに立つとひのきが香る。
着物姿や礼服の人が多く、また、赤子を抱えた人の姿もよく見かけた。
伊勢神宮でも観光客に混じってそういう人々が多く、
こちらでは地元の人々の生活の節目節目で、
神社という場所に詣でるのがならわしになっているのが肌で感じられた。
そういうのって、まだ残ってたんだ。
それとも、見えてなかっただけ?
ともあれ、なんだか頼もしかった。
* * *
そんな感じの旅行でありました。
振り返ってみると、
なかなか濃い内容の旅だったではないか、と思う。
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