フェムトセカンド #七味とーがラジオ / @melonsode

The Destination is unknown. The Journey is the Reward.
Author: 野澤真一 / NOZAWA Shinichi , version 2.0220330 / Podcast: 七味とーがラジオ / twitter: @melonsode

読書の最近のブログ記事

「Googleの脳みそ」を読んだ

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三宅伸吾さんの「Googleの脳みそ」を読みました。

Googleの脳みそ―変革者たちの思考回路


この本はタイトルこそ「Google」という単語が入ってますが、
Googleのことを論じた本ではなく、日本の法に関して論じた本です。
Googleに関しては、第一章でYouTubeが著作権に抵触するリスクを持っていたり、
Google Mapのストリートビュー機能も肖像権の侵害の可能性があり、
それでもリスクを忌避せずサービスを公開し、
訴訟を起こされもしたが違法な動画は即時に削除するなどの対応をすることで
合法と判断された事例を挙げ、
新しい技術によって既存の権利が制限されることはあると論じている。

本のタイトルにGoogleと入れたのは、
法律上グレーであっても、リスクをきちんと認識したうえで、
世界にとって必要とされるサービスを信念を持って提供するプレイヤーの
代表例としてGoogleをとりあげたからだと思う。
少しでもリスクがあると決して手を出さない日本のほとんどの企業とは逆だ。

この本は豊富な事件・裁判例をもとにさまざまなことを考えさせてくれる。

・日教組対プリンスホテル事件
・一人一票の格差問題
・郵便料金不正事件の村木さんのえん罪事件
・村上ファンド事件
・原発事故による東京電力の破綻処理問題
・日本航空(JAL)の破綻処理問題
・GMの再建問題
・役員報酬開示ルール

どれも興味深い内容で、それぞれの事柄に関して
メディアの報道を眺めていただけではわからなかったことが多くあり、
それぞれの事柄に関して以前よりも立体的な視点を得ることができた。

一人一票の格差問題で、2009年8月の衆院選挙で最大2.3倍の一票の格差があり、
それを裁判所が黙認しているような状態になっている。
裁判所は、一応「一票の格差は違憲な状態」と述べつつも、
「選挙のやり直しは混乱が起こるからそこまではしなくていい」という判決になっている。

一票の価値を厳密に等しく揃えるのは確かに難しそうだから、
ある程度の格差は許容しなければならないとは思うが、
果たしてどの程度まで許容できるのかという根拠はなさそうだ。
だけど、2倍以上の格差は問題なのではないかと思うし、
参院選に至っては5倍を超える。
なので、もっと裁判所は強権を発動すべきだと思う。

個人的にすごく驚きだったのは、米国のニュージャージー州で1983年に起こった
一票の格差の判決で、
このときの一票の格差 1.007倍 に対して連邦最高裁の違憲判決がでて、
そのときの選挙は無効になり、
最終的に裁判所が決めた区割りをもとに再選挙になったという事件だ。
日本は参院の5倍以上の格差でも黙認状態なのに、
米国では1.007倍の格差で選挙が無効になり再選挙になっている。
このあたりの憲法に対する忠実さの追求の姿勢は見習うべきだと思う。

JALの破綻処理に関しては、なんとなく報道を見聞きした程度で
あまり理解していなかったのだが、この本では内閣の動きや
再生支援寄稿の動きなどについて時間を追って書いており、
JALの破綻処理のどういう点が問題でどう処理されていったのかということが
詳細に書かれており、その分読むのに骨が折れたが、
かなり理解できたように思う。

最後の章で10の解毒剤として、日本の閉塞感を打破するための方策が
述べられている。
その中のどれも賛成だが、特に下記のものは自分がこれまで思ったことと近い。

・整理解雇の規制緩和
・フェアユース制度の導入
・ネット選挙の解禁

「整理解雇の規制緩和」は硬直化した労働環境の緩和になるだろう。
新卒一括採用問題や正規社員と非正規社員の格差などの諸々の問題は
それぞれが個別の問題ではなく、日本の労働関係の法律や
戦後の高度経済成長を通して培われた雇用慣習により、
労働市場の流動性が極端に低下していることに起因している。
労働市場の流動性を取り戻すためのひとつの方策として、
整理解雇の規制緩和は適したカンフル剤になると思う。

「フェアユース制度の導入」は、日本の著作権制度の見直しである。
いまの著作権制度は過剰に著作者を保護しすぎていて、
利用者の利便性を著しく書いていると思う。
消費者保護が過剰で、過度に生産者に責任を追わせている製造業に関してとは
逆の状況になっている。
デジタル技術やインターネットによって、それまで想定されていた
著作権の概念は完全に時代遅れになっているのだから、
早急に著作権制度の見直しを行ってほしい。

「ネット選挙の解禁」に関しては、それを禁止していることは
もう言語道断と言わざるを得ない。
インターネットを選挙活動に使えないのは日本ぐらいだ、と筆者も述べている。
そのあたりの記述のところで、面白いと思ったことがあったのだが、
それは、不特定多数へのメールの送信は「文書図画の頒布」にあたり禁止されているが、
音声は「文書図画」ではないため、音声を電子メールで送信することは構わないそうだ。
もしネット選挙が解禁されないのなら、
次回の選挙でこの手法を使うのはどうだろうか?
ネットで選挙は戦える! 「ネット街頭演説」解禁はできなかったが、秘策あり(2) | 社会・政治 | 投資・経済・ビジネスの東洋経済オンライン

日本では、法律に抵触するようなことをやったら、即 悪と判断されてしまい、
ただそれだけで忌避の対象となってしまうことに違和感を感じている。
確かに、法治国家においては、悪法も法なりという姿勢が大事かもしれないが、
数学においては、前提となる条件が間違っている場合は、
その後のどんな推論も正しくなってしまうのと同じで、
悪い法律でも長いものには巻かれろ方式で従い続けるのは、
人を不自由にし、国家的な損失を招いていると思う。

すくなくとも悪法に対しては敏感に反応し、NOと声をあげることが大事だし、
場合によってはその法にたいして挑戦的な態度で臨むことも必要なのでは
ないかと思う。

以前はうまく機能していた法律も時間の経過とともにそぐわなくなったり、
新しい技術がうまれて革新が起こるときの足枷になったりもするということを
肝に銘じておくべきだ。

法は国民を守るためのもので、既得権者を守る者のためでない。
また、競争や効率化を阻害するのではなく、
そういうものをうまく引き出すインセンティブとなるような仕組みとして
法律を生み出し・改変していくべきだと思う。

そういうことを考えさせてくれるよい本でした。


2011年に読んだ本を晒してみる

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まったくお恥ずかしい限りなんですが、2011年に読んだ(読了した)本です。
特に感想はなし。

2011-book-list.png

野澤真一の本棚 カテゴリー:2011

一年で18冊しか読めなかったとは、悲しい限り。
読みかけの本と積んである本がこれと同じぐらいの冊数かそれ以上ある。

学部2年生の頃に、読書の重要性を認識し、それ以来、年間100冊を目指して
読書に励んでいるが、いまだに達成できていない。
年間読書数の最高は読書を始めた年の翌年の49冊で、
それ以降は10冊〜30冊あたりで推移している。

年間100冊という数字に根拠はなくて、
小飼弾さんなら一か月で軽く読破する量だろうけど、
単に100という数字がきりがよくて、適度に”大きい”数字だからという以外にはない。

また、読む本の種類によって、
すぐ読める本(ビジネス書とか)とそうでない本(専門書とか)
が分かれるから、その比率で読む本の冊数は変わるだろうし、
また、本というメディア以外にも活字は読んでいて、
Webで読んだり、雑誌で読んだり、メールマガジンで読んだりもしているわけで、
そういう活字で読んだものを本の冊数に直すと何冊なのかという問題もあるのだけど、
そんなめんどくさいことやってられないので、
とりあえず本というメディアの形態のもので何冊ということにしている。
だからほんとに年間100冊とか意味ない。
それでもいまのところ飽きずにがんばっている。

毎年、「今年はわりと読んだほうじゃないか?」と思うのだけど、
きちんと集計してみると大したことないという結果を繰り返している。
なんで「わりと読んだほう」だと思ってしまうかというと、
時間ができたらとりあえず読書にあててるからだと思う。
「暇な時間があったらそれをすべて読書に注ぎ込んだから、
今年はたくさん読んだはずだ!」と、
感覚的にはなるのだが、結局”暇な時間”が毎年それほどでもなく、
読むスピードもそこまで変化していないので、
毎年誤差の範囲内的な冊数に落ち着いているわけである。

いつも、本を選ぶときはできるだけ自分に「新たな気付き」を与えてくれそうな
ものを選んで読むのだけど、今年読んだ中で自分にとって異質だった本は
東浩紀の「動物化するポストモダン」、
佐野眞一の「東電OL殺人事件」、
ニッサンにカルロス・ゴーンが就任したときのドキュメンタリの「起死回生」
南伸坊の「仙人の壺」
であった。

本なら、どんなジャンルでも貪欲に読むという姿勢でいるつもりだったが、
小説の場合は貪欲になれないということに最近気づいた。
気がついた、というか、やっと認めた。
この人の小説だったら読みたいなと思える作家は、
実は片手の指で足りてしまうかもしれない。
だから、小説はたくさん読むことを諦めた。

今年は上に晒した本の他に、村上龍の「愛と幻想のファシズム」を読み直してみた。
本を読み直すことはいままでの人生でほぼしたことがないので、
自分としては珍しい体験だった。

「愛と幻想のファシズム」は、確か読んだの中学2年か3年だと思うのだけど、
その読書体験はいろいろな意味で強烈だった。
いまでもその読書体験は漠然としたクオリアとして目をとじると蘇る。

なんとなく、いろいろな意味で原点回帰してみたくなって、それを読み返した。
あの作中で起こるようなクーデターが、この国には必要なんじゃないかという思いが
日に日に募ってたり。

今年もできる限り本を読みたいと思う。
たしか茂木さんが「読んだ本の厚み分だけ高いところから世界を見ることができる」
というようなことをいっていて、自分もそう信じている。

ref. 「本が人生を変える」

2003年から2011年までの集計をしたら平均が24.11...冊だったので、
2012年の今年は、25冊を目指したいと思います。(月2冊か)
できればその中に、英語の本も含めたい。
いま、Kindleで買った本で途中まで読んで止まっている本が4,5冊あるので、
そのどれか1冊でも。

*追記:一冊、読んだけど本棚に反映されていないやつがあったので、2011年の読了数は19冊(本棚に追加済み)

まだ6月だと思っていたい

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なんだかいろいろとてんやわんやしていて、
めまぐるしい毎日。

「忙しい」って言ったら負けだな、とあるときから思うようになって
その言葉はがんばって言わないようにしている。
だいたい、茂木さんの姿を間近で見ていると、
いかに自分の状況が「忙しい」とぼやくには生温いかを
思い知るので、やはり言ってはいけない。

約一ヶ月後にちょっとした催し物があるので、
それの準備に追われている。
決めることが多すぎる!
本当はさらに4ヶ月先にやる予定が前倒しになって、
かけずり回ることになったけれど、
もし何の準備もなしでこの状況になっていたら
それこそ恐ろしい突貫工事になっていたので、
まあよかったのかもしれない。

最近はRNG課題の先生の手伝いでEEG実験をやるようになって、
電極の準備をしたり、ケーブルを張り巡らせたり、
ハンダゴテでハンダ付けしたりしている。

で、パイロット実験でとったデータをOctaveでこじあけた。
64個の電極で記録したはいいが、
そのデータがどのようにファイルの中に格納されているのか、
マニュアルを読んでもよくわからない。
というか、マニュアルに沿ってデータを読み込むと
おかしなデータがでてくる。
いろいろ試行錯誤したり、
50Hzのハムを入れたデータを人工的に作ってもらって
それを開いているうちに、やっと正しい読み込み方がわかってきた。

eeg.png

データの一部。

Octaveでバイナリファイルをいじり倒している時間が
なんだかんだで楽しかった。
やっぱりオレはプログラムがすきなんだという思いを新たにした。

はっきりってこのデータが何を意味しているかどうかよくわからないし、
電極がきちんと頭についていて、問題なく脳波を記録できていたかどうかも
あやしいんだけど、ところどころに棘波がでていて、
これはまばたきによるアーチファクトだな、と思うのは楽しい。

オレはやっぱり実験が嫌いだ。
でも実験しないかぎり学位なんてとれないだろう。

最近、トイレの友となっていたDr. Zhivagoが読み終わった。


原著を読んだわけでも邦訳を読んだわけでもなく、
ペンギン・リーダースの子供向けにリライトされたやつ。

読み始めた理由は「Zhivago」って何?って思ったから。


浅井健一のバンド、JUDEのアルバムに「Zhivago」というのがあって、
それでこの名前を知った。
最初は名前だなんて思わないで、「AJICO」みたいにベンジーが
勝手に考えた言葉だと思っていた。

ロシア革命の前後の時期を描いた作品で、おもしろかった。

たぶん結婚する前に読んでいたら今みたいな読後感は得られなかっただろうな
ということを思ったりした。
結婚して人妻ならぬ人夫となっていなかったら、
この作品にリアリティをいまほど感じられてはいなかっただろうと思った。

今はペンギン・リーダースの「East of Eden」を読んでいます。
これもかなりおもしろい。


自分の英語のレベルがペンギン・リーダースレベルだということは
ぞっとする事実なのだが、
でも、人生はいつだって途中さ、と強気に前に進む。

いくつもの壁にぶつかりながら

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僕の友人の青木くんはNPO法人「かものはしプロジェクト」をやっていて、
その'かものはし'の共同代表の村田 早耶香さんの本が出たみたいです。

いくつもの壁にぶつかりながら
村田 早耶香

ということを小飼さんのブログの書評記事で知る。

そこにこう書いてあって、

PHPエディターズ・グループ田畑様より献本御礼。

世界は狭いなあと感じた。

何はともあれ読んでみたい!と思って注文しました。

多読術:松岡正剛

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5月が終わった。6月がはじまる。

5月はイレギュラーな予定が次々に入ったせいで、
ぼんやりする暇のない一ヶ月だった。

やろうと思っていた認知実験が一向にできずに時が過ぎていく・・・。
段ボールが!
手頃な段ボールがないのだよ!

カレンダーを見返すと、
思ったよりも今月はいろいろやったのだなというのがわかって、
少しほっとした。
密度が高いヒビだったのだ。

今日は締め切りがひとつあって、
それが終わってほっとした。
それで久々に"だらしない"読書をした。

"だらしない"読書というのは、
差し迫った課題を達成するために必要な読書だったり、
差し迫った課題から現実逃避するための読書だったりとは違い、
心やスケジュールに余裕があって、
手近にあって、なんとなーく読みたいなーと思った本を
ゴロゴロしながら読み始めて、
他にやるべきことがないわけではないけれど、
なんとなーくしばらく読み続けてしまう読書。

* * *

多読術
松岡正剛

セイゴオさんは、読書を情報を摂取するためのものとして
そっけないものとして考えてなくて、
読書をしているときに立ち上がる、世界に匹敵する内的世界の
主観的体験を大切にしている。
たぶんセイゴオさんにとっての読書とはそういう営為なのであろう。

ここのところ、読書という行為に対するスタンスが変わってきていて、
それにぼんやりと気付きつつもうまく言語化できない状態で、
かといって別段言語化する必然性もなかった。

だけど、この本を読んでそのスタンスの変化の意味がよく分かって、
まさに、毎日服を着るみたいに自分は本を読むようになりつつあるのだなー
ということが実感された。

われわれは子供の頃から、たくさんのものを着てきたし、また脱いできましたね。本だって、着たり脱いだりするものなのです。そこにはパンツもあれば背広もあるし、学生服やセーラー服もある。セーターには色がついていて、肘が破れることもある。本もそういうもので、着脱をくりかえしていく。とくに特別の行為ではないんです。

僕はずっとセイゴオさんを尊敬しつつも、
どこか違和感を感じていたのだけど、
その違和感の源がこれを読んでわかった気がした。

それと同時に、セイゴオさんに共感できる部分もいっぱいみつかって、
最後の最後では袂を分かつことにはなるだろうけども、
まだまだこの人の著作や発言などから学べることはそこはかとなくあり、
是非とも学ばせてもらおうという思いがした。

違和感はおそらく「アナロジー」に対する態度で、
だけれどもその点で強く共感したりもするのが不思議なところだ。

この本は読書という行為をとても自由にしてくれるいい本だ。
途中で編集工学の話題がでてくるくだりは苦しいが、
そこは無理矢理に突破すれば
全体的にはするすると言葉が入ってくる書物になっている。


以下のようなくだりがあって、

たとえば、量子力学の新しい局面を読むとか本居宣長の国学の周辺を読むというのは、けっこう集中力が必要です。中身も難しい。しかもぼくは学者や思想家になりたいわけではないから、そればかりやるわけではない。ですから量子力学や国学を読み続けるのは、やっぱりしんどい。そのため、ついついその読書力が落ちてくる。落ちてくるのですが、その回復を別の本でやるわけです。たとえば句集や歌集を読む。そうするとバッテリーに何かがチャージされてくるんですね。

多読術 163ページ

これがとてもしっくりきた。
これって不思議なんだけど、読書の疲れは、
実は別の読書をすることで回復するということがあるということ。

昔は、読書に疲れたときに別の読書をしたら
さらに疲れるだけだと思っていた。
だけど、最近の実感として、ある本を読んでいて疲れて、別の本を読み出すと、
少し読んでるうちにまたもとの本が読みたくなる
ということがあって、読書で読書の疲れがとれているのかなぁ?と思っていた。

かといって自分でも確信はなくて、
でも段々本を数冊同時並行で読むようになったりしていた。

それがその引用した下りで見事に表現されていて胸のすく思いだった。
と同時に、田辺聖子の小説が読みたくなった。


* * *

読んでいて思わず「カッコイー」と声に出してしまった箇所。

そこで、この狩野享吉があまりにすばらしいというので、時の皇太子の教育掛に推挙されたんです。ところが本人は、これを断った。「ぼくは危険人物だ」というんですね。そして、大学をさっさとやめると、好色本のコレクションと書画骨董の鑑定をやりはじめた。 それでいて、時の知識人たち、たとえば長谷川如是閑が「これからの日本における自由とはどういうものだと思うか」と尋ねると、「自由なんてものはキリスト教が作ったフィクションだ。日本人は日本のネッセサリーをもっともっと複雑にしていけばいいんだ」といってのけたりする。・・・

多読術 174ページ。

自由なんてものはキリスト教が作ったフィクションだ。日本人は日本のネッセサリーをもっともっと複雑にしていけばいいんだ

である。

かっこええ・・・。

廣中先生来訪

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ゼミに廣中先生が来てくださった。

しばらく前に
「この日は時間があるからどなたかゲストをお呼びしてトークしてもらおう」
という指導教官の提案があって、
僕が廣中先生はどうだろうかと発案して来ていただくことに決まった。

廣中先生が主催する勉強会に参加させていただいていて、
それで廣中先生とは親しくさせていただいている。

精神薬理学の歴史の話からはじまって、
行動と薬理の関係や、
行動や薬理には心は還元できないという話、
ラットの学習とθ波の話、
中毒・麻薬の話、
ギャンブル課題の話、などなど。

あさりでの宴会も楽しく盛り上がった。
いろいろ廣中先生の四方山話を聞かせていただいたあと、
植田さんが来て、例の如くものすごーくディープな話になって、
そのあとは一転オートポイエーシスのシリアスな話題もあり、
おもしろかった。

* * *

最初に廣中先生にお会いしたのはいつだったか、
ずっと思い出せずひっかかっていたが、過去の日記を掘り起こすと
M1のとき(2006年)に行った統合脳のポスターセッションで
お会いしたのが最初だというのが判明した。

2007/7/15 日曜日

お会いした二人目の先生はH先生だった。去年の夏にやはり札幌であった統合脳シンポジウムのポスターセッションでかなり長い間話をしてくださった先生だ。その時の別れ際に薬理に関する勉強会をやっているのでよかったら来てくださいと言ってくださったのでこっちのメールアドレスを教えたのだが連絡は来ず。てっきり忘れられてしまったのだと思っていたが、今回ポスター会場でお目かけして声を掛けさせていただいたら覚えていてくださった。ちょっと立ち話をしてその後の研究経過などをお聞きした。名刺をいただき、帰ってきてからその名刺に書いてあったメールアドレスにメールを出したらきちんと返事をいただけた。よかった。8月の終わりに統合失調症に関する勉強会がありそれに呼んでくださるとのこと。

そうか!そうであったか!

廣中先生とは学会に行くとばったりお会いすることが多いのだけど、
僕の中の廣中先生のイメージで最初に浮かぶのは
学会の最終日などにある懇親会という名の飲み会の場で
あの独特の泰然とした雰囲気で、
うまそうに酒を飲んでいる姿なので、
てっきり最初にお会いしたのは
そういう懇親会の場だったのではないかと思っていた。

そういえば、ポスターの前で延々と話を聞かせていただいた記憶が
うっすらとある・・・。

あの頃は"血気盛ん"な時期で、
いろいろな学会に飛び込んではいろいろな人に議論をふっかけるということを
やっていたのだった。

* * *

廣中先生のご著書。

やめたくてもやめられない脳
廣中直行


快楽の脳科学
廣中直行

教訓

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今日のクオリア日記に、会ってもいないのに自分の名前がでていた笑った。

茂木健一郎 クオリア日記: 「金メダル」

我が指導教官は以下の教訓を得たらし。

教訓。 あっ、野澤真一がいると思っても、そっちを 振り向きながら歩いてはいけません。

なんのこっちゃという感じだが、
オレも今日ある教訓を得たので記しておく。

教訓、 コーヒーに砂糖を入れるときは眼鏡(あるいはそれに準じるもの)を 着用してから行うこと。

是、真理哉。

普段はコーヒーには何も入れずに飲むのだけれど、
今日はなんとなく「スイーツ(笑)」な気分だったので、
砂糖を入れることにして、台所に立った。

寝起きで、裸眼で、顔を洗ってすらいない状態。

せっかくだから、かなり甘めにしてやろうと
ちょっと多めに砂糖を入れてかき混ぜて一口飲んだ。

その刹那、生命の危機を察知し、
即座に流しに吐きだした。

一瞬何が起こったのかわからずひるんだけれど、
すぐに、いま入れた白い粉は砂糖ではなく塩だったのだとわかった。

みなさん。
塩の入ったコーヒーは間違いなく世界一まずい飲み物のひとつだとわかりました。
身をもって。

* * *

「意識」を語る
スーザン・ブラックモア

少し前に買った「意識」を語るをパラパラと呼んでいる。

これがなかなか元気になる読み物だ。

ただし、訳者解説の部分で、いささか気分を害する部分もある。

この本の編集者は傷だらけのマキロンさんだと知って驚く。
繋がる脳といい、この本といい、なかなかいい仕事をしていらっしゃる。

果てのうるま

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おととい、波照間から帰ってきました。

CIMG4229.JPG

波照間島のマンホール。

* * *

昨日はゼミで、茂木さんと田谷さんが論文紹介。
一方はEEGの論文だったのだけど、
ブザキを読んでいるせいかすんなり読めた。

そのブザキが読み終わった。
最後は意識に関する話で終わる。
その数ページのためにこの本はあった。

その数ページを説得力のあるものにするために、
それよりまえの三百数十ページがあった。

今日はこれからブザキ輪講の最終回である。

浮かれてもいいよ

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二日連続ですずかけ。
ブザキゼミ2回。
Cycle 12をオレの担当で終了した。

今回の章はオシレータのカップリングの話で、
如何に海馬と新皮質の間で異なる周波数のカップリングが
起こっているかということを力説していた。

ブザキを読んでいると「海馬すげぇ」ってなる。
もう海馬の研究するしかないでしょう!みたいな。

最後の方にワーキングメモリとθ波にのっかったγ波の関係の
話がちょろっとのってて、
うそだろ!?っていう感じで面白かった。

残すはCycle 13、最後の章のみ!

* * *

今日のできごと。

お風呂に入っていたら、かちゃっと扉が開いた。
嫁がにやけたツラで立っていた。

「あん?」(オレ)
「・・・楽しみだね」(嫁)

「・・・沖縄が?」
「うん、楽しみだね、ふふふ・・・」

それだけ言うとパタンと扉が閉まった。
嫁は歯磨きをしに洗面台まで来たようだった。

実は土曜日からふたりで沖縄に旅行に行く。
嫁にとっては初めての沖縄。
沖縄に行けるのが余程楽しみらしい。

スモールワールドネットワーク入門

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スモールワールドネットワーク(SWN)のことについて調べようと思い、
グラフ理論を題する本を物色してみた。

グラフ理論の教科書は数が少なかった。
ある人に聞いた話だと、
「一時期流行ったけれど最近はめっきり下火になった」
とのことだったから、そういうことなのかもしれない。

それでその数少ないグラフ理論の教科書のなかで、
SWNが載っているものは皆無だった。
そもそもワッツとストロガッツのスモールワールドに関する論文が
でたのが1998年。

グラフ理論の教科書のうちで
出版年がそれより後というのはみあたらなかったから、
それは当然といえば当然か。

スモールワールドの話が出る前は、
グラフ理論という分野は四色問題が(一応の)解決をみて、
その進展が止まってしまったのかもしれないなと思った。

グラフ理論の教科書にはエルデシュの
ランダムネットワークの話もでてこない。
おそらくそれまでのグラフ理論となじまなかったからだろう。

で、「グラフ理論」「図学」などのキーワードで本を探すのやめて、
それまで見ていた棚のあたりにある本をつらつらと眺めていたら
「スモールワールド」というそのものずばりなタイトルの本があった。
灯台もと暗し。

しかしてそれは、当のワッツが書いたものだった。

一般向けに噛み砕いた本ではなく、
数学的な論考がきちんと書いてあって、
SWNに関して日本語で読めて、数学的に厳密なことが書いてあり、
ある程度まとまっている読み物は、
これをおいて他にないように思われる。

ワッツ
スモールワールド

最近、バラバシが一般向けに書いた、スモールワールドやスケールフリー
に関した本を読み終えた。
これがとてもよい本だった。訳もよし。

スモールワールドネットワーク、スケールフリー性、など、
そのあたりの話題についてクリアに、具体的に書いてあり、
この分野のざっくりとした俯瞰図と急速な発展の様を
見事に描き出している。
スモールワールドについて知りたい人はまずはこれを読むのがお奨めです。

バラバシ
新ネットワーク思考


ちなみに、ワッツの指導教官ストロガッツはSYNCという本を書いている。

ストロガッツ
SYNC

この本はまだ一部を読んだだけだけど、これも面白い。
同期現象についていろいろ面白いことが書いてある。
この”同期”に関しては今読んでいるブザキのRhythms of the brainにも関わる話で、
このあたりを一般向けレベルでもいいから読んでおけば、
もっとブザキの本もスイスイと読み進められたのにと思う。
(たぶん)

hidden figure(正確にはmoony face)を知覚できたときに
脳全体でガンマ周波数帯の位相同期が起こる話も書いてあったり。

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