灘校校長の書いた「謂れのない圧力の中で ̶ ̶ ある教科書の選定について ̶ ̶ 」
という文章を読んで、いろいろと思うことがあった。
特に下記の部分
(抜粋ここから)
そ んなこんな で 心 を煩わせていた頃、歴史家の保坂正康氏の『昭和史のかた
ち 』( 岩波新書 )を読んだ。その第二章は「昭和史と正方形 ̶ ̶ 日本型ファシズ
ムの原型 ̶ ̶ 」というタイトルで、要約すると次のようなことである。
ファシズムの権力構造はこの正方形の枠内に、国民をなんとしても閉じこ
めてここから出さないように試みる。そして国家は四つの各辺に 、「情報の一元化 」「 教育の国家主義化 」「 弾圧立法の制定と拡大解釈 」「 官民挙げての暴力 」
を置いて固めていく。そうすると国民は檻に入ったような状態になる。国家
は四辺をさらに小さくして、その正方形の面積 をより狭くしていこうと試み
るのである。
(中略)
では、現在に当てはめるとどうなるのだろうか。第一辺については、政府に
よる新聞やテレビ放送への圧力 が 顕在的な問題となっている。第二辺について
は 、 政治主導の教育改革が強引に進められている中 、今回のように学校教育に
対して有形無形の圧力がかかっている。第三辺については、安保法制に関する
憲法の拡大解釈が行われるとともに緊急事態法という治安維持法にも似た法律
が取り沙汰されている。第四辺に関しては流石に官民挙げてとまではいかない
だろうが、ヘイトスピーチを振りかざす民間団体が幅を利かせている。そして
日本会議との関係が深い水間氏のブログからはこれらの団体との近さがにじみ
出ている 。 もちろん現憲法下において戦前のような軍国主義やファシズムが復
活するとは考えられないが、多様性を否定し一つの考え方しか許されないよ う
な閉塞感の強い社会という意味での 「正方形」は間もなく完成する、いやひょ
っとすると既に完成しているのかもしれない。
(抜粋ここまで)
2、3年前まではまた日本が太平洋戦争時のような状態になることが
想像できなかったが、なんだか、ここのところ急に、不穏な雰囲気になってきて
いるように思っていて、そういう感覚がとても的確に表現されていると思った。
現政権の前は、1年に1度以上総理大臣が変わる時代で、
その不安定さに比べれば、継続的に同じ人が総理大臣をやるほうが
ずっとよいと思っていた。
だが、このままいまの政権が続くことにはかなり抵抗感がある。
権力は長期化すれば腐敗し暴走する。
そろそろ替えどきだと思う。
受け皿さえあれば、一気にそちらへ流れるのは東京都知事戦を
見ていればあきらかだ。
以前、自民党が民主党に大敗して政権交代がなされたとき、
自民党はもう陽の目を見ることはないだろうなと思ったが、
その予想は見事に外れた。
なので、自分の見立てとは当たらないものだなということは
わかっているが、今感じているうすら寒い危機感は
気のせいだと無視してはいけないと思う。