フェムトセカンド #七味とーがラジオ / @melonsode

The Destination is unknown. The Journey is the Reward.
Author: 野澤真一 / NOZAWA Shinichi , version 2.0220330 / Podcast: 七味とーがラジオ / twitter: @melonsode

崖の下から見上げていた

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ゼロからはじめるプログラミング講座 第三回が終了。
これは、そのレポートではなくて、ふと思いだしたことがあって
書き留めておくため。

こないだの越谷市民まつりのFM越谷のときと、
今日の懇親会のときと、
「なんで(ボランティアで)プログラミング講座やってるんですか?」
と聞かれて、あまり要領を得ずに答えたのは
「自分がもっとプログラムの話、ITの話聞きたいけど、
近所で聞ける場所がなくて、
そういう話の出来る人も近所にいなそうだったから
自分で育てようと思って」
と答えて、確かにその通りで、
もともとはそういうのが動機だった。

でも、ふと、昔のことを思い出して、
誰かに伝えたり、教えたりする側にまわりたいという、
自己実現的・承認欲求充足的な(要は自己満足を求めてる)側面も
一方ではあったのかなと思った。

昔のことっていうのは、高校と浪人生時代に通っていた塾のことで。
あの時、まだ20代の若い先生に教わってた。
先生たちは大学生のバイト講師だった。

それまでの人生では、先生というともっと年上の人のことだったし、
学校という特殊な空間の中で一定の距離感を置いて、
相対するものだった。

でも塾の講師は、もっと近い距離で接することができたし、
学校教育的な縛りがないため、
学校教育的によろしくないあれやこれやのことを教えてもらった。
ごく少数の先生とのみだけど、非常に密接な関係にあった。

あの時、あれだけ親密な関係を先生と築きながら、
一方で、先生たちは圧倒的な大人だ、という感覚があった。

いま、自分が30になって、あの先生たちの年齢を確実に超えてしまった。
そうなった身で考えると、あの先生たちは、
あの年齢に相応に大人だったのであって、
飛び抜けて老成していたり、物事をよく知っていたわけではなかったのかも
しれないということだ。
(すごく優秀だったのはもちろん異論がないが)

自分が、いつの間にか高校球児たちの年齢を超えてしまった感覚に似て、
いつのまにかあんなに立派に思っていたお兄さんの年齢を超えてしまったのに、
自分はあまり立派なお兄さんになっていないことに対するガッカリ感が、
もしかしたら錯覚なのかもしれない。

あの時、崖の下から上を見上げるような感覚で先生を見ていたが、
先生たちはどんな風に自分たちをみていたのか?
その眼差しを自分でも確かめてみたいのかもしれない。

それと今の運営のやり方について考えていたら思い出したのは、
某厚木方面の研究所のH先生がやっていた小規模な研究会のやりかたで、
会費がたったの数百円で、面白い研究の話が非常に至近距離で聞けた。
あの、手作り感・小規模感と学生に対する配慮を参考にしたいと思っている。

一方、懇親会のやり方で理想だなと思うのが、
指導教官がやっている某講座のあとの飲み会で、
あの、来てる人みんなが楽しんでいて、
新しい出会いの機会が絶えずあり、
一方で、馴染みの人たちとの交流もある。
そして、少数の幹事役の人たちがきちっと集まりを仕切っていて、
その仕切は押し付けがましくなく、
さりとてずさんでもなく、締めるところはきっちり締めてる。
そして、学生にとてもやさしい。

H先生の研究会にしても、某指導教官の飲み会にしても、
共通しているのは学生に対する手厚い優遇で、
それがしみじみとありがたかったと思う。

もちろん学生のときも感謝していたが、
どちらかというと、「学生でよかった(得した)」というあさはかな感じで、
むしろそういう立場ではなくなった今のほうが、
あの頃はあんなに良くしてもらって、本当に助かった。ありがたかったと、
現役だったころよりも感謝の気持ちが強くなるようである。

学生(若い人たち)に必要なのは、
何かに触れるきっかけであり、
イマジネーションをかきたてる断片的でも斬新な知見であったり、
的外れのボールを無理矢理打ち返してホームランで返してくれる剛力だったり、
金銭的なコストを低減したり非金銭的なコストに転嫁する仕組みだったりする。

そういうもの全部がひどく懐かしいよ。

自分は、あの時下から見上げていた崖の上に来てしまった。
崖を背に前に進んでしまえばいいのだけど、
崖の下が気になる。

別に、見下ろしているつもりはない。
ただ、崖の下に、あの頃の自分を探しているんだろう。

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