最近「3分間ネットワーク基礎講座」という本を読んでたら、
そのことが書いてあった。
とどのつまり、電話(携帯電話も)は回線を占有してしまうのが原因なのだ。
AからBに電話をかけると、AとBの間にある経路は通話の間、
占有される。
AとBの間に交換局1と交換局2があったとしたら
A→交換局1→交換局2→B
という経路が埋まってしまう。
交換局1と交換局2の間の経路はもっとたくさんあるので、
例えばCが交換局1→交換局2→Dという経路でDに電話をかけることは
可能だが、A,B,C、Dはともに交換局との回路を1つしかもっていないので、
その1本が占有されてしまっていると、
その直前まで回路がつながっていても、
最終目的地には到達できないということになる。
電話(携帯電話)は、そのように"経路を占有する"ネットワークなのだ。
一方でTwitterを含むインターネットの場合は、
ネットワークのつながりかた自体は同じだが、
その間を流れる情報の占有度が違う。
インターネットの場合は情報は断片化され、小さなパケットに分割される。
このパケットが小出しにネットワークに放出され、
目的地まで運ばれていく。
この際にAから交換局1までパケットaが届くまではその回線は占有されてしまうが、
そのパケットが届いた後は占有は解除される。
パケットの大きさは小さいので、
占有は僅かな時間で終わる。
だからAがBに情報を送ろうとしてパケットを
次々にネットワークに投げている間に、
DがAにパケットを投げようとすると、
Aがパケットを出す合間を縫って、
DからAへのパケットを運ぶことが可能になる。
そうやってAはBに情報を送りながらDからの情報を受け取ることができる。
さらに、そこにCも情報を送ろうと思ったら、
Dの情報がAに運ばれる合間を縫ってパケットをもぐり込ませることで、
AはDの情報を受け取りながらもCの情報を受け取ることが
できるようになる。
こうすると、AがDから情報を受け取る速度は落ちてしまうけれど、
いつ終わるかわからないDからの情報を受け取りつつ、
違う情報に接することができるようになる。
この段階でCの情報がより重要で素早く欲しいとなれば、
一旦Dの情報を遮断することでCからの情報の到達完了を早くすることが
できるようになる。
電話の場合、「こ」って音が届いたあとに、間があいてから「ん」ってきて、
そしたら別のところから「おは」ってきて、
と思ったら「にち」ってきて、
そしたら「ようござ」ってきて、
こんどは「はおげんきですか」って来て、
で「います」とか断片的に別由来の情報が届いたら意味がわかんなくなる。
(上記は「こんにちはおげんきですか」と「おはようございます」という
情報が交錯して届く様子を書いたつもり。
実際には情報が入り交じって届くばかりでなく、
「こ、は、に、ち、ん」みたいに順番も入れ替わって届いたりしている。)
占有型のネットワークにしないと不都合が生じるので仕方ないとは思うけど、
スカイプなんかはまさしくそこら辺を何とかしてるわけで、
もう少し、あの電話がまったくつながらない状態は、
なんとかならないものかと思った。
ちなみに、あの地震の直後も、
固定電話はちゃんとつながったように思う。
一方で、携帯電話は壊滅的につながらなかった。
おそらく、交換局ー交換局の回線数は十分な数が確保されているので、
交換局ー携帯電話という回線がネックになっているのだろう。
今回の地震直後とか、あと大晦日が開けた深夜とかに
一斉に携帯電話の回線をダウンさせるぐらいなら、
多少通話に難が生じても、パケット式にデータをやりとりさせて、
なんとか細くても回線は生きるようにできないのだろうか。
追記:この「3分間ネットワーク基礎講座」というのは実はネット上に
もともとのコンテンツがありました。
3 minutes Networking
ただ、このネット上のコンテンツには、
上記で述べたような専有型とパケット型の回線の違いに関しての記事は
見当たりませんでした。
おそらく書籍化に際して加筆されたものなのだと思います。
書いた後で、本当に回線専有型とパケット型の通信の違いが、
通話はできなかったけどTwitterはできた理由として正しいのかどうか
再度考えて、少し自信がなくなったりしたのですが、
僕が上記で書いた話と、ほぼ同じようなことを書いてある記事がありまして、
そちらを読むと、自分の書いた認識は基本的に正しそうだと思いました。
追記2:なぜ、自分の考えが正しいか自信がなくなったかというと、
携帯電話の通話だけでなく、携帯電話のメールも届かなくなったからです。
携帯のメールはパケット通信なので、
携帯電話の通話ができなくなったとしてもメールはTwitterと同じように
送受信ができたはずなのです。
しかし、実際には致命的な遅延が起こりました。
その点が釈然としなかったのですが、いまわかりました。
こちらは単に、DocomoやSoftbank、auのメールサーバの処理能力を超えた
ためだと考えられます。
例えば最大で1時間に1000通のメールをやりとする能力があって、
普段は1時間に100通程度のメールの処理で済んでいるところに、
1万通のメールが殺到してしまったということではないかと思います。
追記3:僕の考えと同じことを何日も前に述べてある記事がありました。
ViberやSkypeは何故、震災直後でも利用出来たのか | ガジェットさん家