3/11の14:46に東北から関東にかけて未曾有の大地震が起こって、
いま5日目が終わろうとしている。
この事態を表現する言葉をまだ持っていない。
東北地方太平洋沖地震とか東日本大震災とか東北関東大地震とか言われていて、
歴史の教科書に載ることは間違いない大ごとが、
いま目の前で、現在進行形で起きている。
コンビニの棚から食料や電池がなくなったり、
ガソリンスタンドに長蛇の列で給油できなかったり、
電車のほとんどが運休して交通機能が完全に麻痺したり、
かつて戦時下で起こったという輪番停電が開始されたりと、
歴史の教科書のどこかに書いてあったような現象を目の当たりにしている。
それ以外にもテレビでどこかのハリウッド映画にありそうな
波に町が呑み込まれるショッキングな映像を僕らはみてしまった。
911のテロの映像が奇妙に現実感を失っていて
演出力不足のできの悪い映画みたいな飛行機がビルに突っ込んでいくシーンさながらに
「これは映画のワンシーンでしょう?」と言いたくなるような光景だった。
あれが青森から福島・茨城まで延びる長い海岸線上のすべてで
起きただなんて信じられない。
日本の国土のかなり広い部分を被災した様は小松左京の日本沈没を思いおこさせて、
国をあげての節電運動はさながらエヴァンゲリオンのヤシマ作戦で、
地震発生直後から激増した携帯やモバイル端末を使ったコミュニケーションは
東のエデンの2万人ニートを並列につないでミサイルを撃墜するシーンのようだった。
得難い貴重な非常時を生きている。
一方で、非常事態だからと何かを簡単にあきらめたり思考停止をしてしまったり
しているけらいもある。
歯を食いしばって全力を尽くそうと思っても、
すぐに力がゆるんでしまうかのような。
停電はあと1カ月は続く見込みだけど、
だんだんとその状態にも慣れていってもとのような状態になるだろう。
でもしばらくは、
世界の景色が以前とはまったく異なったもので
ありつづけるだろう。
閉塞したこの国の天が与えた突破口のようにも見える。
まだこの大地震がもたらしたものがどのような帰結をもたらすのか
見通しは立たない。
今の自分の立ち位置もうまく同定することができない。
今回のできごとを言葉で表現するには、
まだ時間がかかるだろう。