1浪して、学部に4年いって、
大学院がいま4年目だから、
高校をでて、9年目ということか。
9年ぶりに高校の友人達と再会した。
何人かは3年ぶりだったけど、
半分以上は9年ぶりで。
高校→大学→就職とストレートにいったやつは
すでに社会人5年目で、
理系の大半は大学院に行くから、
それでも3年目か。
いっぽうで、いまだ学生の自分と。
そんな負い目もそろそろ形骸化してきてはいるのだけど、
まだ隅の方にくすぶってはいる。
もちろん、久しぶりなのだし、
きっと楽しい会になるだろうと思っていた。
けれども、あんなに口角泡を飛ばして語り合い、
肩を組んで笑い合うことになろうとは
思いもしなかった。
9年前まで、確かに奴らとは時間と空間を共有していた。
巣鴨高校という名を冠するくせに巣鴨駅にはなく、
大塚と池袋のあいだにあって、
校庭が中庭にはみ出さないと直線で50mとれないような
猫の額ほどの広さしかなくて、
秋は銀杏臭く、校舎の中は床のワックスのにおいがツーンとして、
そんな校舎の一角にある教室という四角い空間にオレと奴らはいた。
ほぼ同じ点を同じ時間に通過したトラジェクトリが、
こんなにも芳醇で予測のつかない軌跡を辿っていたというのは、
驚きを飛び越えて、嬉しくなる。
目眩のするような多様性だった。
きっちりスーツを着ていてもう中間管理職の風格を漂わせているやつもいれば、
マジシャンやゲーム屋や獣医の研究者や派遣会社のうらぶれた事務員や、
ちょっと怪しげな社会起業家がいたりする。
堅気のやつとオレみたいなアウトローが
何の違和感なく混在するその雰囲気が
楽しくてしかたがなかった。
本当に、本当に、楽しかった。
すっげえ楽しい!
すっげえ楽しい!
すっげえ楽しい!
ヨロコビ・アクション・ポテンシャルのガンマバースト。
なんで、おまえ、そんな風になってんだよ!(笑)
とうれしさのあまり頭をグリグリとやっていじめたくなる。
大村はしゃべりが白熱して、手を力強く振ったせいでワイングラスを割って、
赤ワインがオレのTシャツに飛び散った。
大村のその興奮ぶりが見ていて愉快だったし、
Tシャツのシミは確実に大事な思い出になると思った。
朴が最後の方グダグダになって、
「野澤、ありがとな!」とむやみやたらに連呼しながらフラフラしていて、
カラオケのトイレに行ってなかなか帰ってこないなと思っていたら、
トイレで吐いていたらしく服や腕が濡れていたけれど、
オレは構わず肩を抱いてやった。
黒夢の「Suck me!」を歌ったとき、
全員がサビのシャウトにきっちり応えてくれたのは
さすがだった。
田中くんの斜に構えた話し方や、
岩間のあほみたいにどっしり動じない態度や、
斉藤くんの癒し系なおっとり感が
どいつもこいつも健在だった。
今井も、森も、洋一も歌野も石野も廣岡も片桐も松本も藤村も佐々木も菊池も山城も
(もし誰か漏れてたら御免)
その変貌ぶりが頼もしくて、
思わずキョンのあの台詞を思い出してしまった。
「おまえが知らないだけで、世界は確実に面白い方向に変わっていたんだよ!」
ひさしぶりの友達にあって、
「変わってないね〜」なんて陳腐な感想を言い合うなんてことは
本当はしたくない。
男子、三日会わざれば刮目すべし
いわんや9年をや
二日連続で帰ってきたのが日付変更後の夫に対する
妻の視線は限りなく冷ややかだが、
許してくれ、妻よ!
すっごい面白いやつらだったのだ!
最近、僕は、素敵な人に会ってばかりいる。
* * *
そうそう、黒夢歌ったんだよ。
あの"ノリ"を共有するのは、やはり濃い時間を一緒に過ごしてきた仲間同士じゃないとできないね。
こういう時間って幸せだね。
読んだだけでなんか嬉しいな。
うちの旦那さんがこんな飲み会に行ったら
遅くなっても怒らずに迎え入れてあげなきゃと
思いました。
しんちゃん、黒夢歌ったんだね。それもまた嬉し。