すずかけへ。
茂木研のお隣さんの研究室、中村研が主催の研究会があった。
この研究会は年に一回この時期に開催されるもので、
今年の講演者は理研の深井さんだった。
UP state, DOWN stateの話を中心に、
神経回路網のモデルと脳の可塑性や発生を絡めた研究の話を聞けた。
例年、参加者は中村研のメンバー+オレ、という
なんともつつましい感じなのだけど、
今年は他研究室からの参加者が大勢来て
中村先生をして「こんなに来るとは思っていませんでした」と
言わしめる盛況ぶりだった。
青西先生と宮下先生も見えていた。
中村先生があんなに目を輝かせて議論する姿は初めてみた。
UP/DOWN stateとSlow-wave sleepのつながりのあたりは
面白いと思った。
そういえばそのようなことがブザキにも書いてあった。
そしてそれは、記憶の話にもつながっていくし、
海馬とも関連があるので、
たぶんこれからは記憶周辺の話が進展するだろうと思った。
睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠に大別される。
そしてノンレム睡眠は1から4のステージにさらに分けられ、
1が浅い眠りで4が深い眠りになる。
深い眠りの方のステージ3、4では脳波を測定すると
波長の長い"ゆっくりとした波(slow wave)"が観測される。
このslow waveがみられるステージ3,4が
記憶の固定化(consolidation)において重要だというのがわかっている。
この時期の睡眠が妨害されると記憶の課題の成績が下がるし、
逆にこの睡眠のあとなら向上する。
面白いのは昼寝はステージ3、4が多いらしく、
だから昼寝でも記憶向上の効果は十分にあるということ。
逆にレム睡眠は記憶とほとんど関係ないらしい。
ある種の抗鬱剤にはレム睡眠をなくしてしまう効果があるものがあるらしく、
その薬を処方され服用する鬱病の患者はレム睡眠がなくなるが、
それでも一向に記憶障害は生じないのだという。
このあたりの話はブザキのCycle 7と8に詳しい。
Slow waveはUPとDOWNの遷移からくるのではないかと
勝手に思っている。
そうなると、記憶に関してはUPのときの機能がこれこれで、
DOWNのときはこうで、という風ではなくて、
UPとDOWNの間を入れ替わること自体が重要になるのではないか。
睡眠と記憶のあたりの話題に興味が湧いてきた。