ブザキの輪講のためすずかけへ。
Cycle 11。
海馬、場所細胞、グリッドセル、episodic memory、θ波といったトピックを
すべて扱うので、この章は異様に長い。
海馬体と皮質の連絡は入力出力ともに嗅内皮質(entorhinal cortex)が担い、
ECのlayer 2のstellate cellからDG(dentate gyrus)のgranule cellへ投射、
さらにそのgcからCA3のpyramidal cellへ。
CA3は自己回帰的なネットワークになっている。
CA3からはCA2,CA1へ投射があり、それがまたECに戻ってneocortexへ出てゆく。
CA2かCA1のどちらかからは脳弓を通って視床へ投射する経路もある。
という感じで、やっと海馬・嗅内野あたりのネットワーク構造が
頭に定着してきた。
たぶん、同じようなことは5,6回は文献で目にしているはずだけど、
断片的に読んだだけでは到底覚えられない。
今日読んだところはplace cell、grid cellの話で、
place cellの発見自体は1970年代で、
思っていたよりも全然古いのでびっくりした。
そうか、そういうO'Keefeらの一連の研究があったから、ロンドンのタクシードライバーのMRI研究
みたいなものが出てくるのか、と思った。
* * *
大阪の帰りの電車の中でふと思ったこと。
GABAergic neuronとかDopamin-ergic neuronという言葉があって、
それらはそれぞれGABA作動性ニューロン、ドーパミン作動性ニューロンと
訳される。
(ちなみにGABAもドーパミンも神経伝達物資のひとつ。)
GABA作動性ニューロンと聞くと、
「ああ、GABAのニューロン(神経細胞)なんだ」
ととりあえず納得できる。
だけど、もっとよく考えてみると、混乱する。
「GABAergic neuronはGABAがなんなわけ?
GABA作動性ってことはGABAで作動するわけ?
つまりGABAが入ってくると動くわけ?」
とこんな風に思ってしまうわけだが、
正解は「GABAを放出するニューロン」なのである。
と、ここら辺は昔にも書いたことがあるのだけど、
また別のことに気付いた。
emergentとかenergyの中に入っている「erg」って、
GABAergicの中の「erg」と同じなんじゃね?
emergentもenergyも締め付けられていた場所から
何かがほとばしるイメージがあてはまる。
「あ、ぴったりだ!」と思ったら、もう昔の状態には戻れない。
GABAergicのergとemergentやenergyの中のergが同じものだとは
ちっとも思っていなかった状態には戻れなくなってしまった。
いわゆる一つのAHA体験。
というわけで世界の成り立ちがどうであろうと、
GABAergicもemergentもenergyもergは共通であり、
ergは何かが迸るイメージこそ相応しい、とひとり確信している。