一食3000円もするとんかつ定食を昼に食べた。
衣が白っぽくて、柔らかい。
それほど高くない温度で揚げているのだろう。
肉は噛みしめるたびに旨みが染みだしてきて、
その肉厚さは噛み切り咀嚼することをこの上ない快楽にする。
何もつけずに食べたり、ソースをたっぷりからめたり、
からしと塩で食べたり、レモンをかけたり。
一切れ一切れを今生の別れのごとく全力でいただいた。
しかし、その後の用事を経て、精も根も尽き果てた状態になり、
そんな甘美な昼食もどこ吹く風。
今の自分、今のこの感情が絶対ではないのだと
自分に言い聞かせて、早めに床につく。