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少し前に、「最底辺」という本を読んだ。

ルポ 最底辺 ー不安定就労と野宿
生田武志・著



この本に関しては子飼弾さんが書評を書いている。
404 Blog not found - 書評 - ルポ 最底辺

この本には驚くべきことが書いてある。

よく知られているように、生活保護制度は「生活に困ったときは、その原因が何であろうと、生活保護法の定める要件にあてはまるときは、平等に保護を受けることができます」(無差別平等の原理/生活保護法第二条)をその原理としてもっている。しかし、野宿者が福祉事務所に相談に行くと、たいていの場合こう言われて追い返されていた。「あなたはまだお若いじゃないですか。まだ働けるでしょう」「あなたには住む家がないじゃないですか。住所のない人には生活保護はかけられませんよ」。

行政は長年、アパートなどへの生活保護の適用は「住所があって」「65歳以上」の人に限るという方針を採ってきた。実は、これは法的根拠がまったくないただの「慣例」である。住所があって収入がなくなった人については保護をかける(はず)なのに、住むところさえ失った野宿者には生活保護を拒否するという、わけのわからない対応が今までまかり通ってきた。その結果、「仕事には行けないし、生活保護も受けられない」という「五十代で体のどこかが調子の悪い人が日本の野宿者の大多数になった。

前掲書 - 129ページ

そうして、実際にそのような人々の例がたくさんでてくる。

もはや日本を福祉国家などとは呼べない現状がそこにあることが見えてくる。

現在の失業問題は、社会の構造的な問題であることは
いよいよ明白になってきたが、
相変わらず、役所のみならず僕を含めた一般市民もホームレスに冷たい。

そのような経緯から、去年の大晦日の年越し派遣村のニュースで、
生活保護の申請が通ったという話を聞いたときは驚いた。

河北新報ニュース:派遣村、生活保護「ほぼ全員に」 210人既に受給

千代田区によると、5日から7日までの3日間に派遣村の計223人が区に生活保護の支給を申請。うち206人について8日と9日に生活費や住宅費の支給を決定、即日支給した。また「郷里に帰る」とした1人についても、生活保護の一種の旅費を支給したという。

- 上記リンクより抜粋

非合理的かつ法的に根拠のない理由で
生活保護の申請をはねのけていた役所が、
210人もの生活保護の申請を受け入れたのだから。

「最底辺」が出版されたあと、役所が変わったのか、
それともよっぽど手腕のある人が派遣村を仕切っているのか。
そんな簡単に役所が変わるはずがないから、
間違いなく後者だろう。

目に付いた関連記事:

検証・「年越し派遣村」 その実態は - Yahoo!ニュース

「派遣村」の偽善 - 池田信夫Blog

404 Blog Not Found:News - 年越し派遣村 - 「小失敗」*「小失敗」 = 「大成功」?


派遣村に集まった人たちのうち207人は生活保護を受けられたのね、
めでたしめでたし。

とはきっとならない。


<年越し派遣村>207人に生活保護 千代田区1カ月分支給

2009年01月09日22時22分 / 提供:毎日新聞

 東京・日比谷公園の「年越し派遣村」にいた失業者のうち、生活保護を申請していた207人に対し、東京都千代田区は1カ月分の保護費を支給することを決めた。申請者の大半は所持金がほとんどなく、住居や仕事を探すことが難しい事情を考慮、短期間での申請を認めた。

生活保護と言ったところで、一ヶ月分の保護費が支給されるだけだ。
たぶん、ほとぼりが冷めた頃、
彼らはもとのホームレスに戻っているのではないか。

この国には絶望感が蔓延しすぎている。

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