かつての修士課程時代の同期で就職した友達が、
リクルーターとしてすずかけ台に来て、
「うちの会社はこんなところですよ」というトークをしに来たので、
サクラとして聞きに行った。
一年経ってその人は立派な社会人になっていた。
それは、立派なことだと思う。
修士時代のオレならば就職するということは、
一種の堕落だと思っていた。
仕事をするというのは、お金を稼ぐということで、
それは自分にとっては堕落以外の何者でもなかった。
それが、そういう見方が変わったのはつい最近で、
会社というのは世界を代えるためにあるのだ
(あるいはそのような可能性をもつ)
ということに気付いたからだった。
世界は変わるのである。
それも、良い方向に。
そうして無力にしか思えなかった自分でも、
そのような力があるのだと感じられるようになってから、
世界の見方は変わった。
* * *
夜は新宿。
指導教官の影響で、たまに週刊文春を読むようになって、
そのなかで一番面白い記事を書くのは椎名誠さんだった。
その椎名さんと指導教官の人の対談があって、
めずらしくそれを聞きに行った。
飲み会で、椎名さんのすぐ近くに座るという行幸に恵まれたが、
あまり話すことができなかった。
それでも、その後で、
指導教官の人と話す時間はとれて、
それは楽しんだ。
改めて、自分の指導教官は面白い人だと思う。
そうしてなんと誤解が多く、その本当の魅力が
歪曲されて理解されていることかと思った。
そんなことはいまさらなのだけれど、
でも、やはり。
うちにはテレビがなくて、もうそのメディアからは
情報を得なくなって久しい。
それでも、その"終わってる"メディアを通じて、
その人がどのように流通しているかというのは
わかっているつもりであり。
もはや、一定以上の知性を持つ人にとって、
そのメディアの情報はクズでしかない。
それでもそのひとは、その現場でベストを尽くしている。
声を大にして叫びたいのは、その人の真価はそんなものでは
ないのだということであり、
僕の良識ある仲間たちはみな賛同してくれるに違いない。
声を大にして叫びたいのは、
この世界の広大さと、
得体の知れない魑魅魍魎が跋扈しているということであり、
あんたの偏狭な枠組みでは捉えきれない何かが
生息していると言うこと。
間違っても、その世界がすべてだなんて思わないでね。