フェムトセカンド #七味とーがラジオ / @melonsode

The Destination is unknown. The Journey is the Reward.
Author: 野澤真一 / NOZAWA Shinichi , version 2.0220330 / Podcast: 七味とーがラジオ / twitter: @melonsode

Life is a miscelanea

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カーテンを開けたら、窓がびっしりと結露していた。
それで、ああ、寒いんだなあと思った。
ロックを外して窓を開けると、空気がまるで雪の降った後の朝みたいだった。
鋭い冷たさと、たっぷりと湿気を含んだ空気。
寒いんだけど、なぜだか許せてしまう霊験さがある。

足下を見ると結露の水滴がおびただしく床に落ちていて、
このままではカビちゃうな、と思って雑巾で拭いた。
それでお掃除モードのスイッチが入って、
掃除機がけをはじめた。
晴れてきたみたいなので、すかさず洗濯機のスイッチも入れた。

物を別の場所に移動して、空いた場所の掃除機がけをして、
終わったら別のものをそのきれいになった場所において、
そこに掃除機をかける。
それを繰り返して、清掃済み領域を拡大してゆく。
合間に洗濯物を干す。

本当は家事なんかせずに、論文を読んだり、プログラムを
作ったりしたいんだけど、と思いつつ、
丹念に掃除機をかけているうちにそういったことは忘れる。

一人暮らしする前は、家事とはまったく無縁だったわけで、
あのころと今で家事に対する考え方は変わった。
家事をしなくてよかったころは、
勉強や研究にかけられない時間はすべて無駄で、
極力そういうことはしたくないと思っていた。
受験生だった頃は一日16時間勉強だ!勉学に狂うと書いて勉狂だ!
とかいって勉学に打ち込んでいた時期もあったし、
大学に入った後も、そんな感じだった。

当時はそれが可能だった。
いま思えばなんて贅沢な環境にいたのだろうと思う。
そのような雑事を一身に引き受けてくれていた
家族、特にハハにはいくら感謝してもしたりない。

今は次に食べるご飯のことや、
コーヒー豆の補充が切れていないかどうかや、
そろそろ服のストックがないけれど天気がわるくてなかなか
洗濯ができないことなどが頭の半分ぐらいを占めていて、
起きている時間をすべて勉強や研究の為に注ぐということができない。

そんな状態がもどかしく思う時もあるけれど、
最近はそうやって生きることを受け入れていて、
というより、むしろ、それが生きるということではないか、
という気がしている。

3秒に一回ぐらいの頻度で飛んでくる打球を打ち返しつつ、
遙かなる目的地を目指し走る。
そんな感じ。

昔、茂木さんが言っていた
「世界全体を引き受ける」ということ。
茂木さんは決して家事をやれ、という意味でいったのではないと思うが
その言葉を聞いた後に、自分の中で消化されて出てきた答えが、
こういうことなのだと思う。

社会に対してナイーブだったころは、
世の中で起きていることのほぼすべては"他人事"であり、
自分に関わりのあることではないと思っていた。
だから自分の世界はすごく狭かったのではないか。

自由意志の問題も、日本の政治機能が麻痺状態にあることも、
掃除機の紙フィルターの補充が切れたので買ってこなければならないことも、
等しい切実さを持った自分の問題であり、
「それはオレの問題だ!」と声を上げて、
何か考えて、行動を起こしていい。

とはいってもやはり自分としては自由意志の問題が大問題なわけで
肩入れしたいのだけれども、
その他の問題も目障りだし、ホームランをかっ飛ばせたら
それはきっと気持ちがいいはずだ。

いろいろ滞っているけど、じきに片付けてみせるさ。
最近ご飯をきちんと食べているせいか、
たくさん寝ているせいか、
都心が近くなったせいか、
あるいはそれら全部のせいかしらないが、
調子が良くてモチベーションも高まっている。

今年一年は充電の年、と決めてのんびりやってきたけど、
いよいよ力が貯まってきたようで。
今年最後の月が始まる3日前。

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