フェムトセカンド #七味とーがラジオ / @melonsode

The Destination is unknown. The Journey is the Reward.
Author: 野澤真一 / NOZAWA Shinichi , version 2.0220330 / Podcast: 七味とーがラジオ / twitter: @melonsode

Taxonomy of Sociality

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学会3日目の午前は宿でゆっくり過ごし、
午後から参戦。
午後は「衝動性と神経科学」のワークショップ。
夕方は「社会性の定義を巡って」のワークショップ。

「社会性の定義を巡って」では茂木さんが
指定討論者のひとりとして話をした。



話を聞きながら、さすがだなと思う。
いつも思うのだけど
茂木さんの話には不思議なattractivenessがある。

今回も社会性を扱う上での重要概念として
コンティンジェンシーが出てきた。
しかし、コンティンジェンシーが大事だ、ということの
意味がやはりよくわからない。

これまでに茂木さんの口から何度も
contingencyという単語を聞いているし、
contingencyの意味もわかっているんだけど、
どういう関係性が社会性とcontingencyにはあって、
それが重要なのかがよくわからない。
動画の音声を参考にコンティンジェンシーに関する部分を
ピックアップしてみる。

ミラーシステムはコンティンジェンシーを表現しているのではないか
コンティンジェンシーという関係性における非常に重要な概念が自閉症には欠けているのかもしれない
学習の途中でコンティンジェンシーはどうしても避けられない
コンティンジェンシーは学習の中核概念

ああ、なんかわかったかも。

* * *

こないだあった生理研の研究会も
「動機付けと社会性」というタイトルで社会性が
テーマになっていて、社会性の定義というのは大きな
話題になった。

確かに定義は大事なのだけど、
個人的には定義よりはtaxonomy(分類)の方が意味があるのではないか
と思っている。

札幌での社会性ワークショップでのひとつのメッセージは
「社会性を扱う脳モジュールがあるわけではなくて、
 基本的な認知機能を高度に組み合わせることで
 社会性と呼ばれているものは実現されているのではないか」
ということだった。

現在扱われている様々な社会性研究は
それぞれは独立な観察・洞察から見つけられた行動・現象であり、
様々なレベル・側面のものが混在してしまっている。
"たまたま"社会性とラベル付けされているだけなのに、
それに目をくらまされて逆に見えづらくなっていると思う。

現象間の関係性・共通性を一度整理して見る必要が
あるのではないかと思う。

いま考えているのは社会性の中で重要なのは
・他者理解
・互酬性(reciprocity)・利他性(altruism)
という区分で、
互いに独立ではないとは思うけれども、
どうやって他者のことを理解しているか、ということと
自己の報酬ではなく他者の報酬になるような
一見"非合理的"な行動はどのように現れてくるかのか
ということは分けて考えていいと思う。

そして、社会性の「起源」の問題も
それらの二つの問題とはメタな視点の問題としてある。
何故、経済学的な意味で"合理的"ではない行動をとるのか?

難しいのは利他的な行動が必ずしも利己的な結果を生まないとは
限らないこととだ。
そういう意味では「合理的」という言葉の意味合いも
曖昧になってくる。
効用関数を定義したときに、
結果として効用関数が最大になればいいのであって、
見かけ上の報酬は減っても
「効用が最大になるのだ」といえば正当化される。

(一見すると)利他的な行動をすることの
進化的な起源は何か?
他者の心の理解を必要とした進化的要求は何か?

そのことを考えていてふと思いついたのは
親と子の関係だった。
親と子を二つの個体と見ると、
親は子に対して強烈に利他的な行動をとる個体、
ということになる。
一方で、子は親からよりよい保護を受けるために
他者の信念を理解する必要があったのではないか?

そう考えると、社会性の起源というのは
進化論の王道のドグマである「種の保存」で
説明できてしまうことになる。

確かに、進化的に新しいほど親が子を養育する期間は長くなり、
社会性の能力も拡大していくように見える。
そういう視点からもっと社会性を突き詰めてみると
おもしろいかもしれないなぁ。

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