G. BuzsakiのRhythms of the brain、読んでます。
「りずむすおぶざぶれいん」は言いづらいし、
「脳のリズム」と日本語訳しても通じないので、
「ブザキ読んでます」という。
神経科学の標準的な教科書である「カンデル」も
本当は「Principles of the Neural Science」という名前があるけど、
「神経科学の原理」とか「神経科学入門」とか訳しても
いまいち雰囲気でないし、そもそも同名の本は他にもあるので、
結局「カンデル」と呼ぶことになるわけで。
(あ、カンデル翻訳サイト「カンデル読んでる」は細々更新中)
「ブザキ読んでるんだ」
「カンデルに書いてあったよ」
いつか、人名がその本のリファレンスとして機能するような
大著を書いてみたいっすね。
ええ。
「もう"ノザワ"は読んだかい?」
「うん、あの表紙、いいよね」
とか。
***
ブザキは3人で輪講形式で読んでいて、
3/11に第一章を読み始めてから、
やっと、7章まできた。
当初は、一章ごとに担当者を決めて、
二週に1回のペースで開催するつもりだったのだけど、
なかなか進まなくて、3〜4週で一章のペース。
オレが担当した6章はまる一ヶ月かかった。
普段の輪講と違うのは、
担当者以外も当該の章を読んでくるという形式にしたこと。
そして、一行一行、「これってこういうことだよね?」と
3人で確認しながら読み進めていく。
予習しないで担当者の話を聞く、形式だと
、
分かった気になって通り過ぎてしまうことが
往々にしてあって、
それを阻止するためにこのような形式にした。
全員が同意するまで
「だからこういう意味でしょ」
「えー、でもじゃあここにこう書いてあるのは?」
「うーんそれは○△×で・・・」
と執拗に続ける。
こういう形式の輪講を大人数でやると収集がつかなくなると
思ったので、
3人という少人数でやっている。
普通の輪講だと、人数が増えるので1人当たりの負担は減るけど、
この場合は、人数が増えても負担は変わらない。
***
このブザキの本は各所で絶賛されてて、
いい本なんだと思う。
- http://kanair.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/buzsaki.html
- http://badcat.air-nifty.com/psychiatry/2007/08/buzsakirhythm_o.html
- http://pooneil.sakura.ne.jp/archives/permalink/001128.php
- http://compenn.exblog.jp/5278331/
- http://d.hatena.ne.jp/shokou5/20071226
- http://badcat.air-nifty.com/psychiatry/2007/08/buzsakirhythm_o.html
が、個人的には
「んんんんー、いい、本、だ、よ、なぁ?」
という感じ。
そもそも
いい本かそうでないか、を判断できるレベルには
まだ至っていないと思う。
英語読解能力にしても脳科学リテラシにしても。
いや、でも、まあ、うん、面白いです、この本。
この本は一体、何の本といったらいいのだろう。
「脳のリズム」といわれても、なんか漠然としている。
リズムって聞くと、睡眠のサイクルとか?
サーカディアンリズムとか?視交叉上核とか?
あるいはα波とかγバーストとか、脳波の話?
とりあえず、そういう話は全部今のところ出てきている。
けど、そういうことがこの本の本質じゃなくて、
もっとメタな視点からも脳というシステムの本質に関して、
突っ込んでて、ギリギリ勇み足で、時々ぶっ飛んでて、
だけど、100%真剣で本気な議論が繰り広げられている。
複雑系の話やニューラルネットやスモールワールドネットワークや
tensegrityやバックミンスター・フラー。
wetな神経生理学的アプローチだけでなく、
力学系やコンピュータ科学、グラフ理論の話なども交えて、
脳を解体する方向からだけではなく、
脳を構築する方向からの議論もしている。
こういう議論をここまでタフにしている人は
なかなか見あたらないと思う。
個人的に興味がある、神経回路の自発発火の話もでてきた。
自発発火の問題について、答えがでているわけではないけれど、
ノイズと自発発火の関係が堂々巡りしている感じが書かれていて、
やっぱり同じところでみんな悩んでいるんだというのが、
わかってホッとした。
いま読んでる7章は脳のdefault stateとして睡眠状態を扱っていて、
なかなか面白い。
視床のコネクティビティについて書いてあって、
なかなか勉強になる。
睡眠に関してにわかに興味がでてきた。
今後、できるだけ、この本の感想やまとめなどを
書いていこうと思います。