いつだったか、大学のキャンパスに
「ラーメン構造を用いたなんとかなんとかの設計」と題した
博士論文かなんかの案内の紙が張られていたことがあった。
「ラーメン」という単語が出てきたので笑ってしまったが
いったいなんのことだかわからなかった。
あれは「ラーメン」というのは
小麦をこねて細く伸ばしたものを暖かい汁につけて食べる
あの中国発祥の料理ではなくて、
ドイツ語の「Rahmen」のことだったということに気付いた
今日この頃。
ドイツ語で「Rahmen」というのは「額縁」のこと。
純ラーメン構造、みたいに、
建築の世界ではよく使われる言葉らしい。
筋交い(すじかい)を使わずに直角な棒の接合によって
壁(平面)を作るような構造をラーメン構造というらしい。
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さて、こちらは麺類でも建築用語でもない「ラーメンズ」。
お笑い、というかアーティストといった方がよいかも。
今年の2月頃に「ラーメンズ」にはまって、
当時は一日3時間はみなければ気が済まないほど
中毒になったが、
ここのところは落ち着いていた。
が、最近またムショーにラーメンズがみたくなって、
しかもこれまでに見たことがないやつが見たい!という
衝動に駆られてついにラーメンズのDVDを買ってしまった。
今回買ったのは「ALICE」。
2005年の第15回講演。
「モーフィング」
これはDVDではじめてみた。
モーフィングのようにそれぞれが独立して関係のない場面が
切り替わる。
その形が連続的に変わっていく感じを、
演劇でやろうとする発想がすごいし、
実際、成功している。
「後藤を待ちながら」
DVDではじめてみた。
長谷川さんが哀れで、岡田が怖い。
「風と桶に関するいくつかの考察」
うまい。
「風が吹くと桶屋が儲かる」というのは
よくわからない理屈で原因と結果が結びついているのを
表現した諺だけど、
風が桶屋になる「理屈」をいくつも披露している。
「バニー部」
硬派な応援団的な雰囲気のバニー部。
片桐仁がひたすらすわっているだけで、まったく動かない。
小林賢太郎がひたすら一人相撲をとる。
ラーメンズが発明したコントの新しい形式。
これもすっごい笑った。
強面硬派な人格と、女っぽい甘えた声を出す人格と、
猫の声真似とか小道具を使った一発芸とか、
小林賢太郎の芸の多様さが伺える。
冒頭のレディオ体操第一を
よく考えたなーと感心するし、
真似しようとしてもあの動きはなかなかできない。
「甲殻類のワルツ」
これもDVDではじめてみた。
フォッフォッフォ。
「イモムシ」
これは小林賢太郎氏がイモムシの人形を操って、
片桐仁氏と対話するというもの。
イモムシと片桐仁はフィギュアスケートのペア同士、
というような設定。
ただし、実際にはフィギュアスケートではなくて、
フィギュアスケート的な何か。
小林賢太郎が90年代のトレンディドラマのヒロイン的な
しゃべり方をするんだけど、
それを喋っているのはイモムシっていうシュールさ。
「ブルーバンブー」でもっとも受けた。
「不思議の国のニポン」
これはほんと傑作。
片言の日本語で日本の都道府県を説明していく。
「北海道!」
「住民の半分がー、くま!」
「もう半分が、かに!」
「公式キャチフレーズ」
「試される、大地(田中邦衛ぽく)」
栃木→群馬→埼玉、の流れとか秀逸だなーと思う。
全部、猿、馬、サイと動物つながりで来ている。
単品でもそれぞれのネタは面白いけど、
やはりそういうつながりがあるから、
非線形な作用が生まれて爆発的な面白さになる。
熊本→長崎の「ぽん」繋がりとか。
秋田のナマハゲの話が岡山の桃太郎の話でつながるところなんか、
「くぅーーーーーー」と
憎らしいほどあっぱれな伏線の張り方。
最初に見たときはどこを見ても笑えて、
呼吸が苦しくて笑い死ぬかと思うほど笑った。
是非、この「不思議の国のニポン」は見て欲しい。
公演のタイトルがALICEで、
「不思議の国の」というタイトルをつけるということは、
この作品に相当の自信があると言うことだろう。
小林賢太郎氏の脚本の発想力もさることながら、
その話芸の巧みさもうならせられる。
なぜあそこまで、外国語っぽい発音とか、
DJが皿を回す「ドキュドキュ」という音とか、
全然人格の違う声とか、出せるのか。
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ほとんどをYouTubeで試聴可能。
「モーフィング」
「後藤を待ちながら」
ない。
「風と桶に関するいくつかの考察」
「バニー部」
「甲殻類のワルツ」
「イモムシ」
ない。
「不思議の国のニポン」