昨日は玉大でfMRIのはじめての被験者をやった。
fMRIというのはfunctional Magnetic Resonance Imagingの略で、
日本語だと機能的磁気共鳴画像法という。
もともとfのつかないMRIという技法があって、
その応用技術あるいは派生技術である。
医療の現場で体の内側の構造を可視化する技術として
よく知られているのはレントゲン撮影だろう。
これはX線を使用して撮影するわけだが、
X線をもっと巧みに照射して、
出てきたシグナルをコンピューターを使って再構成することで
より精密で詳細な画像が得られる。
お腹の輪切りの画像なんかがとれる。
CTスキャンとか呼ばれている。
MRIという技術も体の内側を見るための技術である。
ただし使うのはX線ではなく強力な磁場だ。
X線はほんの一瞬とはいえ放射線被曝してしまうというので
人体に優しくないが、
磁場は強くても今のところ害はないということになっている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/核磁気共鳴画像法
http://ja.wikipedia.org/wiki/コンピュータ断層撮影
今回入ったfMRIの磁場は1.5T(テスラ)を発生させる。
これは地球磁場の10万倍とかある強力な磁場である。
金属の何かを身につけたまま機械の置いてある部屋にはいると、
もの凄い力で引き寄せられて一度くっついたら人の力では
ひっぺがせなくなるらしい。
ハサミなんて持ってはいった日には
もの凄い速度で手からハサミが飛んでいくとか。
ま、そんな強力な磁場を使うMRIという機械だけど、
これは基本的には水分子の中の水素原子から磁場を利用してシグナルをとりだし、
そのシグナルをPCを使って再構築することで、
体の輪切りにしたり脳の奥深いところがどうなってるかということを
見せてくれる。
今回の実験では脳の働きを見たいので、
これを使って脳がどんな形をしているか、
調べるわけだ。
後で聞いた話ではオレの脳は右の後頭部が大きいらしい。
で、fMRIとは何をするのかというと、
MRIと装置や原理は同じで、
だけど、シグナルを取り出す対象が違う。
今度は血液を流れるヘモグロビンからシグナルを取り出す。
ヘモグロビンの量の増減はそこを流れる血液の量を反映している。
脳が活動する→そこを流れる血液が増える
という簡単なロジックから、
血液の量が増えた→その脳部位が活動した
ということが言える。
だから、数学の問題を考えてるときにfMRIをとると、
数学を考えるための脳部位がわかるし、
英語を読んでいるときにfMRIをとれば英語を読むときの脳部位が
わかるというわけだ。
今の脳科学ってけっこう簡単。
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今回の実験では課題の成績に応じて報酬をもらえるということだった。
練習段階で課題をやらせてもらったら、
結構難しく、他の人よりもすこし難易度を下げてもらった。
そしたら本番の課題をやっているうちに上達して
かなりよい成績をとることができた。
最終的に1万2000円もらえた!
こんな手軽にこれだけのお金がもらえるとは。
実験の被験者というのは往々にしてつまらないし疲れるものだけど、
fMRIの被験者はもっとやってもいいな、と思った。
EEGの実験に比べて、格段に不快指数が低かった。