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Author: 野澤真一 / NOZAWA Shinichi , version 2.0190217 / Podcast: 七味とーがラジオ / twitter: @melonsode

2013年12月アーカイブ

日本の正社員の解雇規制は一番厳しいか

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日本の正社員の解雇規制は一番厳しいかどうかで、論争が勃発している。

経過

国家公務員一般労働組合の記事:
解雇規制緩和は若者も非正規労働者も救わない-「解雇自由」のデンマークより首切り自由な日本

この記事に対する反論が下記。

城 繁幸さんの記事:
日本の正社員をクビにするのは世界で一番難しい

そしてその反論に対する反論。

国家公務員一般労働組合の記事:
「日本の正社員をクビにするのは世界で一番難しい」とする城繁幸氏のウソ

また、別の方( uncorrelated さん)による城繁幸さんへの疑義
日本の正社員をクビにするのは世界で一番難しいと主張する人が見る幻覚

上記2つに対する城繁幸さんの再反論:
公務員労組に学ぶ嘘のつき方

それぞれの主張を理解するには元データを良く読む必要がある

上記、一連の記事をぱっと読んで、さっと理解するのは難しい。

とりあえず、元データにあたって、上記の一連の論争(口喧嘩?)を検証してみる。

元データが書かれているのはOECDのこれ
OECD Indicators of Employment Protection

この記事の中に、2013年のOECD各国の労働者保護に関する規制を 数多くの指標において点数化して一覧にしたエクセルデータがある。

一連の論争で、2008年のデータがでてきたり、2013年のデータがでてきたりして、 それがややこしさのひとつになっている。

また、2013年データは簡単にみつかるが、2008年データはそうもいかず、 それっぽいものをみつけたが、複数年にわたるデータのなかにふくまれているので、 そこから抽出する作業も必要になる。

それと、労働者保護規制の評価の表もたくさんあり、さらにその個別の指標から複数選んだ ものを平均化したものが別の指標になったりして、 すぐに理解するのはむずかしかった。

2013年のデータをもとに解雇規制の強さの表をつくった

ひとまず、2013年データをもとに、検証できることをやろうと思って、 下の表をつくりました。

下記の前提があります。

  • 2013年データを使用 [xlsx]
  • 正規雇用の「解雇の難しさ」とは REG5~9 の平均値
  • OECDに加盟している国のみ(未加盟だが加盟検討中の国のデータも含まれているため)
  • 同点はすべて同じ順位とする

この前提のもとに表を作ると下記のようになり、 日本は労働者保護の強さ(解雇規制の強さ)は8番目となりました。

OECD加盟国は全部で34各国なので34か国中 8番目というのは、 すくなくとも、解雇規制が弱いとは言えないと思います。

2013: Difficulty of dismissal

  

このランキングは、 国家公務員一般労働組合が「正規労働者の解雇規制ランキングのグラフ」といって引用しているOECDのページにある図と整合性がとれていないようにみえる。

Protection of regular workers against individual and collective dismissals

figure1_anarrowfrombitmap-432x257.JPG

ref: from here

しかし、それもそのはずで、OECDのグラフは、「Protection of regular workers against individual and collective dismissals」というタイトルがついてあり、そもそも指標が違う。

国家公務員一般労働組合が別の指標によって評価された別の解雇規制の厳しさの度合いなのに、「ほら、このグラフと城繁幸の言ってることは食い違うじゃないか」と当たり前のことを言っている。その点はミスリードだと思う。

「Protection of regular workers against individual and collective dismissals」のグラフの指標と、この記事に掲載した表(解雇規制の難しさ, Difficulty of dismissal)はそれぞれ、どういう指標なのかは後述する。

2008: Difficulty of dismissal

2008年データも抽出できたので、これで同様のランキングを作ると、確かに城繁幸さんが言うように、日本が1位。

使用したデータ: OECD Employment protection indicator published in 2009 excel

解雇規制に関するそれぞれの指標

指標の計算方法は下記の表を見れば、一発で理解することができると思う。

EPRC_culc.JPG

OECDのページに掲載されている図「Protection of regular workers against individual and collective dismissals」の指標は

  • EPRC : Individual and collective dismissals – regular workers

一方で、この記事に掲載した表である解雇規制の難しさ(Difficulty of dismissal)は、EPRCを計算する際に加算される指標の一部である。

  • Difficulty of dismissal ( ER5 ~ ER9 の平均値)

指標の計算方法は下記のPDFに記載されている。  
CALCULATING SUMMARY INDICATORS OF EPL STRICTNESS: METHODOLOGY

追記:この指標の解説は下記のページで日本語で読める

追記

  • 2013.12.26

このOECDの解雇に関する解説を日本語でされているページを見つけた。

こちらの記事経由で知った。

2008年データは EPL-timeseries.xlsx と Updated time series.xls の2つがあるようで、それぞれで2008年のREG8のデータが食い違っているのを確認した。

  • EPL-timeseries.xlsx のREG8 : 2
  • Updated time series.xls のREG8 : 6

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